最新の示談成立割合と分析 |刑事事件の示談交渉を得意とする弁護士

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最新の示談成立割合と分析

大阪の刑事弁護士・士道法律事務所

 

2023年のデータの整理がある程度完了したので示談成立割合の洗い直しを行いました。

以前のデータでは

「示談が成立した件数/受任した刑事示談交渉事件の総数」

約89%

「示談が成立した件数/弁護士が被害者との交渉を開始できた事件の総数」

約94%となっていました。

 

最新のデータ(2024年2月時点)では

「示談が成立した件数/受任した刑事示談交渉事件の総数」

約74.8%

「示談が成立した件数/弁護士が被害者との交渉を開始できた事件の総数」

約89.4%となっています。

 

数字の変化について、受任事件のデータ分析を行った結果は以下のようになります。

 

まず士道法律事務所のお問い合わせ件数と受任件数について。

2023年は2022年との比較で

お問い合わせ件数:約178%

受任件数:約159%

とかなりの伸び率を示しています。
士道法律事務所の知名度・評価が高まっているということでありがたい限りです。

ただしこれは
「様々な事件の相談が寄せられるようになった」
ということで、

交渉自体する気がない被害者に当たる件数や確率も増えた

ということに繋がってきます。
また、犯行態様その他事情から示談はかなり望み薄と予想され、それを相談者に伝えるも

「どうしてもこちらの事務所で示談交渉をお願いしたいんです!」

と懇願されてやむなく受任することにしたというケースも増えています。

 

続いて被害者の連絡先を開示してもらえず交渉自体が始まらなかったケースの割合。

2022年:約10.8%

2023年:約16.3%

約5.5%とそこそこ大きな割合で増えています。

まず捜査機関を通じて示談の打診を行ってもらう。
打診時の注意事項は弁護人選任届を送るときの送付状に細かく記載しておく。
警察段階で示談交渉を拒否されたら送検後に検察官を通じてもう一度打診を行ってもらう。

交渉を開始する前段階、被害者の連絡先を尋ねるための手法は一切変えていません。

つまり単純に
「弁護士相手であっても交渉自体したくない」
と考える被害者の割合が増えた、という推測が立つことになります。

これと関連性がありそうなデータとして、2023年は例年に比べて

・一人で複数(2~6人)の被害を発生させた加害者の事件が多かった
・淫行(青少年健全育成条例違反)の事件が多かった

というところがあります。

余罪が多い事件の場合、犯行時期的に「古い被害者」「新しい被害者」が混在することとなります。
そして示談の打診が来る頃には「古い被害者」はすっかり冷めてしまっていて
「いや、今さら示談とか結構です」
となる確率が上がります。

淫行の場合、被害者(未成年)の属性から示談が打診される先は必ず「被害者の親」となります。
このケースで親が「とりあえず加害者側の話を聞いてみようか」となることはだいぶ少ないです。
淫行の事案では被害者の家庭環境に何らかの問題(両親の不和、ネグレクト等)が生じている率も高く、捜査機関が示談の打診自体にかなり消極的な雰囲気が伝わってくることも珍しくありません。

交渉自体開始不可の割合が上昇した原因はこのあたりであろうと推測されます。

 

そして、弁護士が被害者やその代理人と話をすることはできたが示談が成立しなかったケースの割合。

2022年:約6%

2023年:約10.6%

約4.6%、こちらもそれなりの割合で増加しています。
どのようなケースで示談がまとまらなかったのかというと、例えば以下のような感じです。

【ケース1(名誉棄損)】
被害者Yの名誉を棄損する動画がYouTubeに投稿されたという事案。
主犯は動画配信者のX1、士道法律事務所に示談交渉を依頼してきたのはX1から動画編集を依頼されていた下請的立場のX2。
Yの弁護士と交渉を開始するも、
「主犯格のX1が示談に応じないから」
という理由でX2との示談を拒否された。

【ケース2(暴行)】
加害者Xが酒に酔って通行人YとトラブルになりYを突き飛ばす。
Yは転倒しただけで怪我はなし。
Yの連絡先を教えてもらう際に警察から
「Yは事件のときに数千万円の腕時計をつけていてブレスが傷付いたと言っています。警察の方でそのような事実は確認できていないのですが」
と言うことが伝えられる。
Yに連絡を取ってみると案の定
「怪我はしていないが時計に傷がいった。最低でも200万円払え」
と過大な要求を出してきたため早々に交渉を打ち切る。

【ケース3(暴行)】
会社内のトラブルで加害者Xが同僚であるYの胸倉を掴む。
Yに怪我はなし。
Yと交渉を開始するも、Yは
「Xとは過去にこういうトラブルがあった。全部まとめて数百万は払え」
と言うばかりで、こちらが
「暴行の件以外は受任していないのでその他のことを交渉する権限がない」
と再三説明しても態度を改めず話が進まないため交渉を打ち切る。

【ケース4(窃盗)】
7年前に家電店で加害者XがYの財布入り鞄を盗む。
Yと連絡を取って交渉を開始するも、交渉の前段階の刑事事件の流れや示談の意味について説明しているところで
「7年も前のことで何を今さら。財布を盗まれてこっちがどれほど困ったか。もう電話してくるな」
と怒り出して一方的に電話を切られる。

【ケース5(窃盗)】
被害店舗Yで過去に何度も万引きを繰り返していたX(複数の前科あり)が万引きの現行犯で捕まる。
Y(の店長)と交渉を開始したところ、
「本社に確認したところ『示談は一律で受け付けていない』とのことだった」
と伝えられる。

 

ここで挙げていない他のケースも大体似通った感じです。
こうして改めて振り返ってみると、これらを

「弁護士の交渉能力が不足していたから示談がまとまらなかったんだ!」

と言うにはちょっと釈然としない思いが出てくるところですね……

 

ちなみに、示談がまとまらなかった(示談をまとめなかった)ケースであっても、

・被害者への弁済に替えて刑事贖罪寄付を行う
・相手方の口座に解決金の振込だけを行う
・検察官への意見書で交渉経過等を報告する

といった次善の策はきちんと講じてあり、例えば上で挙げたケースだと

【ケース1】⇒不起訴
【ケース2】⇒略式手続
【ケース3】⇒不起訴
【ケース4】⇒不起訴
【ケース5】⇒略式手続

というように示談不成立でも依頼者が望む結果は最大限実現されています。

受任事件全体の処分結果の分析データも示しておくと以下のようになっています。

2023年の刑事示談交渉受任事件の処分結果

 

 

 

 

 

【円グラフ画像メーカー (スマホ対応) – SYNCER】

非事件化(警察の介入前に解決):9.75%
不起訴(起訴される事なく終了):70.74%
略式手続(罰金確定の書類処分):12.19%
公判請求(裁判所での刑事裁判):7.31%

 

以上、最新の示談成立割合に関するデータの分析でした。

 

【関連情報】
よくあるご質問「どのくらいの割合で示談がまとまっているのですか」
よくあるご質問「示談交渉が失敗するのはどのようなケースですか」

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