示談の手続が終わるまでどのくらい時間がかかりますか
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身柄拘束されていない標準的なケースだと1~2か月程度が目安です。長引くときは半年ほどかかることもあります。
- (A)被疑者が逮捕・勾留されている場合
- (B)身柄拘束なしで被害者自身が示談に対応している場合
- (C)被害者側に弁護士がついて示談に対応している場合
- ・警察を通じて被害者に示談の意向を確認してもらう
- ・警察から教えてもらった連絡先に弁護士が電話して交渉を開始する
- ・被害者が示談の是非や条件を検討する
- ・示談の内容が決定する
- ・加害者(依頼者)に解決金を用意してもらう
- ・弁護士が被害者に合意書を郵送する
- ・被害者が合意書を弁護士に返送する
- ・弁護士が被害者の指定口座に解決金を振り込む
- ・弁護士が示談完了を検察官に報告する
- ・被害者本人⇔被害者側弁護士の伝達行程が増える
- ・重大事件であることが多く被害感情が強い
- ・被害者が金額以外の様々な要求を出してくることが多い
- ・被害者側の弁護士が解決金の額を上げようとしてくる
- ・被害者が弁護士費用をかけている関係で解決金が高くなる
詳細な回答
刑事事件の示談交渉で要する時間(受任から終結までの期間)は
の3パターンで大まかに分類されます。
(A)の場合、示談成立までの期間は1~2週間程度です。
このケースでは逮捕で最大48時間、逮捕から勾留まで最大24時間、勾留開始から勾留満期まで原則10日間(延長で最大20日間)というタイムリミットを意識せざるを得ません。
勾留満期までに検察官は
「起訴」
「不起訴」
「処分留保釈放」
のいずれかを選択する判断を下さねばならないからです。
そのため、1~2週間程度で早急に示談をまとめないと検察官が「起訴」の処分を下してしまうリスクが一気に高まります。
時間がないので被害者を急かしながら示談交渉を進めることになります。
被害者としては十分に検討する時間を奪われることとなり、加害者は目前に迫ったタイムリミットという弱みを抱えることになるので、示談交渉のパワーバランスは大きく崩れて被害者側が有利な構図が出来上がります。
結果、解決金の額を高めにすることで早期の示談に同意してもらうという戦術を取らざるを得なくなるのです。
(B)の場合、受任から終結まで1か月程度となるのが一般的です。
こういった手順を無理なく丁寧に進めていると大体1か月はかかるのです。
たまたま警察署がすぐ被害者に連絡を取ってくれて、被害者の反応や判断も速いという偶然の事情が重なると、受任から2週間くらいで終結まで至ることもあります。
もっともそのようなケースは極めて稀で全体の2~3%程度です。
・警察が示談交渉に非協力的だった
・被害者が弁護士と話をするかどうかすらだいぶ迷っていた
・弁護士が被害者に電話してもなかなか連絡が取れない
・合意書(示談書)を送ったのになかなか返送されない
こういった事態が発生すると終結まで2~3か月かかることもあります。
(C)の場合、受任から終結まで3~6か月程度要することが普通にあります。
理由としては以下のようなものが挙げられます。
被害者側に弁護士がつくケースはさほど多くはありません。
士道法律事務所の受任事件の中では10%以下程度です。
被害者側の弁護士が出てくる典型的なケースは以下の三つです。
「強制性交等」
「傷害(骨折等で被害大きめ)」
「名誉毀損(ネット掲示板やSNSへの投稿)」
「強制性交等」では女性の被害者が女性の弁護士を立ててくることがほとんどです。
「傷害」は軽度のもの(打撲や裂傷で全治1か月以下程度)で被害者側の弁護士が出てくることはまずありませんが、比較的重度のもの(骨折等で後遺障害も問題となり得るケース)だと被害者側に弁護士がつく可能性がグッと上がります。
「名誉毀損」は、発信者情報開示のように加害者を特定するのに弁護士への依頼が必要となるようなケースで、情報開示を受任した弁護士がそのまま示談交渉にも出てくることがあります。
被害者側に弁護士がついた場合、基本的に示談交渉は難航します。
そのため終結までの時間は長く、支出額は高くなることを覚悟してください。