文書偽造 | 刑事事件の示談交渉を得意とする弁護士

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文書偽造

文書偽造の示談交渉についての解説

文書偽造とは

大阪の刑事弁護士による文書偽造の示談交渉

「文書偽造」は、その文書を作成する権限がないのに他人名義の文書を作成することを言います。
真正に成立した文書に変更を加える権限のない人間が内容を書き換えたときは「文書変造」となります。

勘違いしている人が多いのですが、「文書偽造」で処罰の対象となるのは「作成名義を偽った場合」のみです。
内容を偽っているにすぎない場合には「文書偽造」という罪は成立しません。

例えば、「X」という人物が「A」の名義で文書を作成した場合、「私文書偽造」となります。
「A」が作成した文書の内容を「X」が無断で書き換えた場合、「私文書変造」となります。
これに対して「X」が自分の名義で内容虚偽の文書を作成しても「私文書偽造」にはなりません。
作成名義は「X」のままでそこに齟齬は生じていないからです。

文書偽造の罪は文書の性質や偽造の態様に応じていくつかの類型が設定されています。

行使の目的で御璽等を使用して詔書等を偽造・変造したときは「詔書偽造等」となります。
行使の目的で公務員の印章等を使用して公文書を偽造・変造したときは「公文書偽造等」となります。
公務員がその職務に関して行使の目的で虚偽の文書等を作成・変造したときは「虚偽公文書作成等」となります。
公務員に対して虚偽の申立をして登記簿等に不実の記載をさせたときは「公正証書原本不実記載等」となります。
上記の公文書等を行使したときは「偽造公文書行使等」となります。
行使の目的で他人の印章等を使用して文書等を偽造・変造したときは「私文書偽造等」となります。
医師が公務所に提出すべき診断書等に虚偽の記載をしたときは「虚偽診断書作成」となります。
上記の私文書等を行使したときは「偽造私文書行使」となります。
人の事務処理を誤らせる目的でその事務処理の用に供する電磁的記録を不正に作ったときは「電磁的記録不正作出及び供用」となります。

「文書偽造」を処罰するための法律は次のとおりです。

刑法154条(詔書偽造等罪)
刑法155条(公文書偽造等罪)
刑法156条(虚偽公文書作成等罪)
刑法157条(公正証書原本不実記載等罪)
刑法158条(偽造公文書行使等罪)
刑法159条(私文書偽造等罪)
刑法160条(虚偽診断書等作成罪)
刑法161条(偽造私文書等行使罪)
刑法161条の2(電磁的記録不正作出及び供用罪)

文書偽造がそれ単体で処罰の対象となることはまずありません。
何か目的があって文書を偽造しているはずだからです。
その「目的」はほぼ100%「詐欺行為に使うため」で、文書偽造は基本的に「詐欺」とセットになって事件化します。

「詐欺」について知りたい場合は【こちら】

文書偽造事件では示談が何より大事!

文書偽造の保護法益は「その文書に対する公共の信用」です。
いうなれば社会そのものが被害者であり、そういう意味では具体的な人間としての被害者は存在しません。
しかし、上記のとおり文書偽造が問題となるケースではほぼ確実に詐欺も問題となっています。
つまり、偽造された文書により騙されて損害を被った人を被害者と見ることになります。

文書偽造の事実が捜査機関に知れるとまず警察署で取調べを受け、場合によっては逮捕されることもあります。
セットとなっている詐欺の内容によっては自宅にも警察官がやってきてスマホやパソコンを差し押さえられることもあります。
その後事件は検察官に送致され、最終的に検察官が

  • ・被疑者(容疑者)を刑事裁判にかける(=起訴)
  • ・刑事裁判にかけるのを一旦見送る(=不起訴)

のどちらかの処分とすることを決めます。
起訴されてしまえばほぼ100%有罪判決が下され、裁判所で言い渡された刑罰を受け、「前科」という一生拭えない烙印を押されることとなります。
これを回避するには処分が決まる前に被害者との示談をまとめて「不起訴」の処分を勝ち取るしかありません。

文書偽造の示談金の相場

士道法律事務所では年間40~50件ほど刑事事件の示談交渉を受任しています。
この経験に基づく「文書偽造」の示談金(慰謝料、解決金)の相場は

被害額+20万円程度

となります。
前述のとおり、文書偽造が単体で刑事事件化することはなく、通常はその後の詐欺に吸収されるような扱いとなります。
そしてこの示談金は被害額が比較的小さい軽微な事案を想定したもので、あくまで一つの目安に過ぎません。
一口に「文書偽造+詐欺」といっても、消費者金融での借金の際に給与明細の金額を少し書き換えた程度のもの、公的機関の文書を偽造して大規模な投資詐欺を行ったものなど様々です。
また、被害者の年齢や性格、共犯者の有無、犯行発覚後の加害者の行動、加害者と被害者の関係性、被害者側弁護士の有無といった要素によっても金額は大きく変化します。
具体的にどのくらいの金額となることが見込まれるかについては、初回一時間無料の法律相談において詳しい事情を聴き取った上でご説明します。

文書偽造の示談成功率

約89%

これは士道法律事務所の「刑事事件の示談成立件数」を「刑事事件示談交渉の全受任件数」で割った数字です(2022年3月時点)。

ただしこれには「警察や検察を通じて示談の申し入れをしたが被害者が示談交渉そのものを拒否したケース」も含まれています。
これを除外して当事務所の弁護士が被害者(またはその代理人)と直接交渉することができたケースに限定すると示談成功率は
【約94%】
です。

示談交渉は示談を得意とする弁護士に!

士道法律事務所はお問い合わせのうち60~70%が刑事事件の示談交渉に関するものという、全国的にも珍しい刑事示談交渉に特化した弁護士事務所となっています。
文書偽造を始めとする刑事事件の示談交渉は士道法律事務所が最も注力し、専門性を高めている分野となります。
刑事示談交渉はただ金額の交渉を行えばよいというものではありません。
被害者の心情も理解した上で、注意深く、誠実に話を進める必要があります。
士道法律事務所の代表弁護士はこの点を重視して常に丁寧な交渉を心掛けており、それが前述の高い示談成功率にも表れているものと自負しています。
文書偽造の示談交渉は刑事示談交渉の専門家である士道法律事務所にお任せください!

文書偽造の刑罰

文書偽造で起訴されてしまった場合、以下の刑罰が科されます。

刑法154条違反(詔書偽造等)

無期または3年以上の懲役

刑法155条違反(公文書偽造等)

公務員の印章等を使用した場合:1年以上10年以下の懲役
公務員が押印等した文書等を変造した場合:1年以上10年以下の懲役
上記以外の場合:3年以下の懲役または20万円以下の罰金

刑法156条違反(虚偽公文書作成等)

印章または署名の有無で区別して154条・155条と同様の刑罰

刑法157条違反(公正証書原本不実記載等)

登記簿・戸籍簿・公正証書等の場合:5年以下の懲役または50万円以下の罰金
免状・鑑札・旅券の場合:1年以下の懲役または20万円以下の罰金

刑法158条違反(虚偽公文書行使等)

154条から157条までの各文書等を偽造等した場合と同様の刑罰

刑法159条違反(私文書偽造等)

他人の印章等を使用した場合:3月以上5年以下の懲役
他人が押印等した文書等を変造した場合:3月以上5年以下の懲役
上記以外の場合:1年以下の懲役または10万円以下の罰金

刑法160条違反(虚偽診断書等作成)

3年以下の禁錮または30万円以下の罰金

刑法161条違反(偽造私文書等行使)

159条から160条までの各文書等を偽造等した場合と同様の刑罰

刑法161条の2違反(電磁的記録不正作出及び供用)

通常の電磁的記録を作った場合:5年以下の懲役または50万円以下の罰金
公務員等により作成されるべき電磁的記録を作った場合:10年以下の懲役または100万円以下の罰金
不正に作られた電磁的記録を事務処理に供用した場合:上記と同様の刑罰

文書偽造に関する条文

刑法

(詔書偽造等)
第百五十四条 行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
 御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。
(公文書偽造等)
第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
(虚偽公文書作成等)
第百五十六条 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。
(公正証書原本不実記載等)
第百五十七条 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
 前二項の罪の未遂は、罰する。
(偽造公文書行使等)
第百五十八条 第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
 前項の罪の未遂は、罰する。
(私文書偽造等)
第百五十九条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
(虚偽診断書等作成)
第百六十条 医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、三年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
(偽造私文書等行使)
第百六十一条 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
 前項の罪の未遂は、罰する。
(電磁的記録不正作出及び供用)
第百六十一条の二 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
 前項の罪の未遂は、罰する。
【記事作成者情報】
士道法律事務所 弁護士 飯島充士(大阪弁護士会
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