不同意わいせつ
不同意わいせつの示談交渉についての解説
- ・不同意わいせつとは
- ・不同意わいせつ事件では示談が何より大事!
- ・不同意わいせつの示談金の相場
- ・不同意わいせつの示談成功率
- ・不同意交渉は示談を得意とする弁護士に!
- ・不同意わいせつの刑罰
- ・不同意わいせつに関する条文
不同意わいせつとは
「不同意わいせつ」とは、暴行や脅迫その他所定の行為や事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をを行うことを言います。
かつては「強制わいせつ」という罪名でしたが、令和5年(2023年)の刑法改正により罪名が「不同意わいせつ」に変わり、構成要件も変化しました。
行為がわいせつなものでないと誤信させ、もしくは行為をする者について人違いをさせ、またはそれらの誤信や人違いをしていることに乗じてわいせつな行為をした場合にも「不同意わいせつ」は成立することになります。
判断能力の不十分な16歳未満の者にわいせつな行為をした場合、同意の有無にかかわらず「不同意わいせつ」が成立します。
改正前は、心神喪失や抗拒不能に乗じてわいせつ行為に及んだ場合(例:酔い潰れた女性の陰部を触った)には「準強制わいせつ」という別の罪が成立することになっていましたが、改正後はにこうした態様も「不同意わいせつ」に含まれるようになっています。
法改正で「婚姻関係の有無にかかわらず」という文言が加わっており、たとえ婚姻している夫婦の間であっても同意のないわいせつ行為があった場合は処罰の対象になるということが明示されています。
18歳未満の者に対してその監護者が監護の影響力に乗じてわいせつ行為に及んだ場合(例:養女に対して「成長度合いを確かめる」と述べて胸を触った)は「監護者わいせつ」となります。
これらの罪を犯して人を死傷させた場合は「不同意わいせつ等致死傷」となります。
「不同意わいせつ」「監護者わいせつ」を処罰するための法律は次のとおりです。
痴漢(迷惑防止条例違反)と似た行為態様となりますが、被害者が13歳以上か13歳未満か、わいせつ行為に至るまでの事情によって適用が使い分けられます。
条例は各都道府県によって内容が異なっており、どの法令を適用するかは具体的な状況に照らして判断されます。
性交・肛門性交・口腔性交に及んだ場合は「不同意性交等」となります。
「痴漢(迷惑防止条例違反)」について知りたい場合は【こちら】。
「不同意性交等」について知りたい場合は【こちら】。
不同意わいせつ事件では示談が何より大事!
不同意わいせつで捕まるパターンとして多いのは、電車や飛行機で現場に居合わせた周囲の人に捕まえられて(現行犯人逮捕)警察に引き渡される、被害者が警察に被害を届け出てその後警察から呼び出しがくるというものです。
一旦逃げおおせたとしても防犯カメラ映像等で身元を特定されて後日警察官が自宅にやってくるというパターンもあります。
不同意わいせつの事実が捜査機関に知れるとまず警察署で取調べを受けることになります。
自宅にも警察官がやってきてパソコンや事件当日の衣類等を差し押さえられることもあります。
その後事件は検察に送致され、最終的に検察官が
- ・被疑者(容疑者)を刑事裁判にかける(=起訴)
- ・刑事裁判にかけるのを一旦見送る(=不起訴)
のどちらかの処分とすることを決めます。
起訴されてしまえばほぼ100%有罪判決が下され、裁判所で言い渡された刑罰を受け、「前科」という一生拭えない烙印を押されることとなります。
これを回避するには処分が決まる前に被害者との示談をまとめて「不起訴」の処分を勝ち取るしかありません。
不同意わいせつの示談金の相場
士道法律事務所では年間40~50件ほど刑事事件の示談交渉を受任しています。
このデータベースに基づく「不同意わいせつ」の示談金(慰謝料、解決金)の相場は
となっています。
ただしこれはあくまで一つの目安に過ぎません。
一口に「不同意わいせつ」といっても、電車内でやや強引な痴漢行為に及んだもの、路上で無理矢理キスをしたもの、被害者宅で陰部にバイブレーターを挿入したものなど様々です。
また被害者の年齢や性格、犯行現場の状況、犯行発覚後の加害者の行動、加害者と被害者の関係性といった要素によっても金額は大きく変化します。
具体的にどのくらいの金額となることが見込まれるかについては、初回一時間無料の法律相談において詳しい事情を聴き取った上でご説明します。
不同意わいせつの示談成功率
これは士道法律事務所の「不同意わいせつの示談成立件数」を「不同意わいせつ示談交渉の全受任件数」で割った数字です(2022年3月時点)。
ただしこれには「警察や検察を通じて示談の申し入れをしたが被害者が示談交渉そのものを拒否したケース」も含まれています。
これを除外して当事務所の弁護士が被害者(またはその代理人)と直接交渉することができたケースに限定すると「不同意わいせつ」事件については
【約91%】
です。
示談交渉は示談を得意とする弁護士に!
士道法律事務所はお問い合わせのうち60~70%が刑事事件の示談交渉に関するものという全国的にも珍しい刑事示談交渉に特化した弁護士事務所となっています。
不同意わいせつを始めとする刑事事件の示談交渉は士道法律事務所が最も注力し、専門性を高めている分野となります。
刑事示談交渉はただ金額の交渉を行えばよいというものではありません。
被害者の心情も理解した上で、注意深く、誠実に話を進める必要があります。
士道法律事務所の代表弁護士はこの点を重視して常に丁寧な交渉を心掛けており、それが前述の高い示談成功率にも表れているものと自負しています。
不同意わいせつの示談交渉は刑事示談交渉の専門家である士道法律事務所にお任せください!
不同意わいせつの刑罰
不同意わいせつで起訴されてしまった場合、以下の刑罰が科されます。
刑法176条違反(不同意わいせつ)
6月以上10年以下の懲役
刑法179条1項違反(監護者わいせつ)
6月以上10年以下の懲役
刑法181条1項違反(不同意わいせつ等致死傷)
無期または3年以上(20年以下)の懲役
不同意わいせつに関する条文
刑法
(不同意わいせつ)第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
(監護者わいせつ及び監護者性交等)第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条第一項の例による。2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項の例による。 (未遂罪)第百八十条 第百七十六条、第百七十七条及び前条の罪の未遂は、罰する。 (不同意わいせつ等致死傷)第百八十一条 第百七十六条若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。2 第百七十七条若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。